S&T M1903−世界を駆け渡った美国の小銃
二つの世界大戦で戦場を駆け抜けたボルトアクションライフル。この言葉で皆さん何の銃を一番に思い出しますか?
ドイツの定番とも言えるkar98k?英国御用達のエンフィールド?やはり日本人なら三八式?
このようにいろいろとありますが、さてでは、かのアメリカ軍は何を持ってましたのかというと、・・・なんだっけ?って感じでいまいち地味なのです。
それもそのはず、先の大戦、WW2でのアメリカ主役の小銃は半自動小銃のガーランドがあるわけで、ボルトアクションではなかったのです。
しかしWW1と一部では根強く使われていたのも事実であり、連合国への供与品や枢軸軍の鹵獲運用銃としても有名ではあったわけです。
そして某映画でも存在を魅せていた、あの古強者といえば・・・。
ご紹介。S&T製、スプリングフィールドM1903。
アメリカ軍1903年制式採用のボルトアクションライフル。年代としてはWW1からの銃となります。
ご購入はフォースターさんから。以前の裏ショットショーでのでかいやつです。
も少し背景を説明しますと、WW2でのレンドリース法という連合国内で場所と人を貸してくれりゃモノ出してやるアメリカの供与契約時に、ガーランド作ったから余ってるなって理由で、他のものと一緒にこの銃が割りとわんさか出回ったようです。
(他に有名なものとしてはシカゴタイプのトミーガンですかね。)
そんなわけだもんで枢軸でも鹵獲品としての流通がそれなりにあり、例えばフィリピンのアメちゃんから、また東南アジアで英軍から、中国大陸ではkar98kと一緒に、などと鹵獲しまくっており、逆に末期に連合が攻めてきた際にはコイツが日本軍の戦力として丸々使われ、また鹵獲され返されたとか、とっても複雑な流れ。
それ以外にもはっきりとはしない情報ですが、日本の陸軍や海軍では戦争前にこいつを調査目的か訓練用か何かでまとまった数輸入していたらしく、それを引っ張り出して鹵獲品と一緒に使っていただとか、なんだかもっと奇奇怪怪・・・。
まあ、どこもかしこも無いからあるものを使う時代だったんですね。
てなわけで装備考証の縛りも緩く、鹵獲装備大好きな自分としても大助かりです。
・・・そう元々買った理由は、大戦コスでセミレギュに対応するためなの。
当然ボルトアクション銃ですから、よくあるサバゲフィールドのセミオートレギュで大活躍できるというわけです。
さてここからは歴史のお勉強ではなく、現代のおもちゃのエアソフトガンを見ていきましょうか。
外観はいい意味で他の同年代の銃と比べて特徴らしい特徴が無い、素直な銃だと思います。
形状についてはサイト形状やその他もろもろから、A3型をモデルアップしているようです。
WW1制式の小銃は各国どこも銃剣戦闘を想定したり命中率を重視したりとで、銃全長が長いものが多いのですが、この銃は銃器大国らしく取り回しに焦点が置かれていたのか、騎兵銃レベルに短くまとまっています。
まあ短くといっても現代アサルトライフルましてやカービン系に比べると長いですし、狩猟用のボルトアクションと比較なら平均的ですかね。
ちなみにその長さ、具体的にはZB26と同じでございますので、今の感覚で言うと・・・うーん。
単重測定。おおよそ2.7kgと軽金属と木での構成ならそんなところか。
バランスはいささかストック方向に重心が寄っているのですが、本体はスマートで、持ち手部分にも困ることはありませんのでそこまで重量感は感じません。
さて各部を見ていきますか。気候はシンプルなエアコッキングです。快適温度。
フロント。んまー細いこと丸いこと。
古き良き時代から合理主義なアメリカらしく必要最低限の形状で構成されており、シンプルではあるんですがちょっと殺風景というか寂しい。
こいつは留めネジと木ストの穴サイズがあっておらず、前後にガタガタしておりましたのでパテでギャップ埋めしちゃいました。
上下ストックの挟みについてはやや隙間が空き気味ですが、ガタはありません。
それと裏ショットショーというとB品なわけなのですが、何がそうって言うと、一番でかい原因はこれ。
真っ二つレベルじゃないんですが、ビキビキに割れが走っております。これどうしようかな・・・。木くずか、との粉でも擦り込ませて埋めるかな。
後一応オイル仕上げではあるんですが、表面処理がいまいちでねー。ちょっとボソボソしてるわ色むらがあるわだし。一度落として塗りなおすかな。
フロントサイトもシンプルぷるんぷるん。・・・肝心の部分なのに何でかセンターズレてますね。まったくもう。
その裏はスリング用の穴と、・・・さじょう?用のフックっぽいの。
これは小銃をキャンプファイヤーの焚き木のようにセンターで3〜4丁ほどで組んで、立たせて置くための為らしいのです。
見ればわかりますがなんか適当な取り付け方というか、隙間空いてるし、基部がゆがんでもいる。ううう・・・。
続きましてフロントからセンターへ。
右にちょこんと突き出ているこれはホップアップレバー。前で解除、後ろで掛かり。
構えればわかるのですがここがちょうど添え手の位置に来るため、触ってしまって動いたりとちと現実的でない仕様。
それに押さえ兼レバーのパーツが柔らかい樹脂の為、きついホップは掛けられず、重量弾使用する際には仕様を改造しないといけないと思います。精度が要のボルトアクションなのに、この仕様はちょっと致命的かも。
メインである機関部のご説明。
上部には印刷での刻印がごちゃごちゃと。ホワイトですが傍目そこまで派手に見えるわけでも無し。
で、トリガーガードにはドカーンと例の生産先。うーん、ちょっとこれは・・・。
ボルトハンドルはストレートではなく、今時の曲がってるやつ。
収めたときに邪魔にならないのはいいんですけど、まっすぐ伸びていないで左利きにはちょっと使い辛いかも。
リアサイト周りはA3型特有。
テンションがかかっており手で押し引きして距離を、左右はハンドルで調整するというシンプルなもの。
一応リアサイトを解体することでスコープ用のマウントベースが取り付けられるようですが、まだ持っていないので今回はそのまま。
セフティは二重構造となっていて本体左のがボルトハンドル制止、後ろのでトリガーが引けなくなります。本体左のは実銃でだと別の機能があるみたいです。
そのトリガー感は左右の遊びが多し。ピシッとした固い感じにするならスペーサーでも必要かな。
ざっと見まわしたところ複雑なローレット彫刻やすべり止めなどはなく、極めてシンプル。凝ったことせんでもええんよって感じですかね。
その下の部分、実銃では弾薬装填用の機構が入っている部分なのですが、留め金を押して開放すると何やら空洞がぼっこり。
そうここにBB弾を装填できるようになっています。
装填方法はこの棒型のマガジン。
装填方法がちょっとだけ特殊で、奥まで突っ込んでマガジンキャッチに止めるというもの。外すときはキャッチを押して引っ張る。
口部はスプリングタイプのマガジンと同じですね。手でプチプチ込めるもよし、ローダーでもよしで1マグ25発。
コッキングしての作動範囲はこんな感じ。まずまず雰囲気は出てますね。
引いた感じは少しショリショリ感があって微妙に重いと良くは無し。すりあわせしたり油差すなりで改善できるでしょう。
ストック部はドスンと安定感。パットプレートに蓋があります。
別に電動ガンではないからバッテリーも要らないし、何って入れるものでもないんですけど・・・。
ちなみに予備マガジン入れようとしたら微妙に寸法足りないでやんの。ドリルで奥に拡張してもいいけど強度が心配。
では初速。
この銃もともと初速が高く、96m/s前後になってたので、一度おおよそに分解してバネ2巻きほどぶった切ってます。
ですので80後半でキープ。それでも私の持っている銃の中では高いほうですかね。
感想としては、良き銃ではあるのですが手を入れるべき部分が多いように見えて、そのまま合格とも言いづらいのが正直。
ですが大戦コスのみならず、時代や国を選ばないシンプルな古式ボルトアクションの銃器としてはなかなかいい製品ではないでしょうか。
また、マガジン式の給弾方法や後付けでマウントを乗せられるなど、ゲーム用途としても考えられており、値段も木ストとかこの手の物の割には比較的安価であると、一風変わったものが欲しい人にはよさそうです。
もっとも愛情は必要でしょうけどね!!